「日の出製作所は、自動車部品の下請けメーカーです。特にエンジンバルブの生産をずっとやってまいりました。下請けは大変です。毎年毎年コスト削減が言い渡されますから、必死です。」と話の内容とは裏腹に優しい笑顔で語る岩社長である。日の出製作所は、加工技術の高さで知られ、非常に特殊なバルブを生産している。その中で、秀逸なのが「いすゞ117クーペ」のエンジンバルブである。1968年のジュネーブモーターショーに出品され、世界の賞賛を浴びたジュージアローのデザインによる名車である。当時自動車ファンなら誰もが憧れの車であった。そのいすゞ117クーペのエンジンバルブを製造、1981年まで14年間作り続けてきたのが岩社長である。そのエンジンバルブは、普通は目にすることがないが、今も会社に展示してある。美しいのである。極め付けの美しさがある。しかし、近年はコストが優先されるため、技能的に極めることも少なくなっていると言う。
そこで、岩社長が考えたことは、「消費者に直接会える製品を自社製品として作ろう。」ということであった。何かないか。ヒントは意外に身近にあった。岩社長が楽しんでいるゴルフである。さらに友人の医師から「心臓に一番負担がかかるのが、ホールインしたボールを拾う時だ。」と言うことを聞きアイディアがひらめく。社員には、下請けだけでない自分達の商品を持とうと呼びかけた。岩社長は「ものづくりは夢がなければやっていけません。」と語る。そこから生まれた製品が、「スタッグ ビートル パター」である。 |