かわさき新産業創造センターは、川崎市産業振興財団が運営するビジネスインキュベーション施設である。新しいビジネスの立ち上げや新製品の開発をめざす企業が集まっている。ここでは、ビジネスに関する支援を受けることができると同時に入居している企業同士が非常に身近に交流して、情報交換や相互に刺激を与え合っている。ポーレック社はかわさき新産業創造センターに入居している企業であり、その中から生まれた製品が、Polec-star PS-2021 である。
製品は、「発振器」と「振動子(ハンドピース)」と「工具」で構成されている。発振器は、セラミックに圧力を加えると電気が生じる圧電効果を応用したものである。セラミック圧電素子に高周波電圧を加えると20 kHz以上の超音波振動が発生する。この超音波をハンドピースに伝えて工具を10〜30マイクロメータの振幅で振動させる。この振動が工具(刃物)に伝わり超高速微小振動を起こす仕組みとなっている。刃物が20kHz(1秒間に2万回)で振動することで、磨いたり、切ったり、剥がしたりすることが容易になる。さらに本製品の特徴は、発振器の重量が通常の同じ出力の機種に比べて約1/2(3・8kg)と小型化され作業効率を上げている。また、振動子の互換性を持っていることも特徴である。超音波振動は、基本的には共振現象を利用しているため、振動子の共振周波数と発振器の駆動周波数が同調していなければならない。よって、現場で使うためには、振動子と発振器を常にペアで用意しなければならないがこれは不便である。そこで、Polec-star は独自の回路技術で振動子の互換性を持たせることに成功した。
Polec-star PS-2021は、「塗膜や合成タイルを剥がしたり、防水シートの剥離撤去作業を安全に効率的にできる方法はないか」という建設現場の声から生まれた製品である。超高速微小振動を工具に加えることで、通常の手作業に比べ約10倍の研削力が生まれ、作業負担は1 /10となった。実際に手に持って作動させてみても、手に振動が伝わってこない。刃の先だけが1秒間に2万回の振動を行なっているが手に持った工具自体にはその振動は感じられない。刃の先が勝手に作業しているような感覚になる。力を入れることなく刃の先を当てるだけで刃が進んでいくようである。音も静かで快適である。さらに微小な振動は粉塵の発生を抑える。まさに、「作業者に優しい製品をつくりたい。」という藤井富廣社長の思いが込められた製品となっている。塗装膜剥がしの作業は、3 K といわれるほどに作業環境が悪い。また、作業者は未熟練者が多く、安全性や効率性が課題であった。そこで、冒頭の現場の声が生まれたのである。Polec-star PS-2021は、これまでの作業環境(騒音や粉塵)を改善するとともに、作業の安全性を確保し、さらに作業効率を改善する製品といえる。 |